【フィリピン旅】観光地じゃないイロイロの市場で魚を眺める一日【海遊冒険記】

旅行

フィリピンの旅といえば、セブ島のリゾートやマニラの夜景が頭に浮かびがちです。けれど、観光地のきらびやかさとはまったく違う「街の素顔」に出会いたいなら、ローカル市場へ足を運ぶのが一番。今回わたしが訪れたのは、パナイ島南部にあるイロイロシティのシピルフィッシュスタンドと呼ばれる市場でした。

イロイロはギマラス島のすぐ北側に位置する港町で、マニラやセブに比べると知名度は高くありません。けれど、この街はスペイン統治時代から交易の拠点として栄えた歴史を持ち、地元の人々の暮らしがぎゅっと詰まった市場がいまも息づいています。

観光ガイドにはほとんど載らないけれど、だからこそ旅人にとっては発見の宝庫なのです。。

シピルで停泊する船。

夜明け前から始まる熱気

まだ空に星が残っている時間帯、街の中心部にある魚市場に足を踏み入れました。空気は湿って重く、トライシクルのエンジン音と人々の声が入り混じって響いています。市場の中はすでに活気づいていて、魚を並べる音、包丁がまな板を打つ音、買い手と売り手が呼吸を合わせるような掛け合いの声。こういった街の声を聴くと、眠かったはずの頭がだんだん冴えてきてワクワクしてくるのです。

日本の市場を思い浮かべると、きちんと氷詰めされた発泡スチロールに魚が並ぶ光景を想像しますよね。けれどイロイロでは、そんな整然とした風景はありません(笑)

大きなたらいに無造作に山盛りにされた魚たち。マグロの切り身でさえ、ビニールシートの上にそのまま置かれている

「えっ、これ大丈夫なの?」と最初は思わず眉をひそめたのですが、不思議と生臭さは強くなく、鼻を突くような匂いも感じません。もっと不快なにおいを想像してましたが驚きましたね。

氷も冷蔵もない世界

この市場で最も驚かされたのは「氷がない」という事実でした。暑い国だからこそ、徹底して冷やして保存しているのかと思いきや──氷の姿なんてほとんど見当たりません。

たらいに詰め込まれた魚。

売り手は魚をひょいと持ち上げ、「フレッシュ!」「今日の朝獲れだよ!」と叫ぶ。買い手はといえば、魚を目でなめ回すでもなく、鰓をめくるでもなく……気づけば隣のオバチャンと世間話に夢中。

「ほんまに魚を買いに来たんか?それとも噂話を仕入れに来たんか?」ってツッコミ入れたくなるほど。笑い声と身振り手振りばっかりで、目利きというよりは井戸端会議。魚より声の方が飛び交ってる、そんな市場でしたね。

魚と人と街のリズム

市場を歩くと、色とりどりの魚が目に飛び込んできます。青く光る小魚の群れ、赤い鱗をきらめかせるスナッパー、鋭い歯を見せるバラクーダ。発泡スチロールではなく、たらいやテーブルの上に直接置かれていて、中には色がくすんでしまった魚もあります。マグロだって、地面にぽんと置かれ、整列なんてしていません。

奥の魚は色が変わってますよね(笑)

それでも、ここではそれが日常。子どもが走り回り、売り子は大声で呼び込み、買った魚を袋に詰め、通路は人と魚で混沌。匂いは海と魚と湿気が入り混じり、生々しいカオスそのものです。でも不思議と臭くはない!

観光地のような「見せるための舞台」ではなく、これがイロイロの魚市場の日常の姿。魚の色や置かれ方に目を留めると、この街で暮らす人々の生活のリズムや力強さが、ひしひしと伝わってきます。

旅人の目線で感じるイロイロ市場の魅力

イロイロの市場は、ただ魚を売り買いする場所ではありません。ここには、土地の暮らしや人々の息づかい、文化のリズムがぎゅっと詰まっています。

日本の市場のように整然としていない。でも、だからこそ生きている感じが伝わってくる。マグロが地面に転がっていても、色がくすんでいる魚があっても、誰も気にしない。それがこの場所では日常であり、旅人にとっては新鮮で、ワクワクする光景なのです。

朝の薄暗い時間から活気が溢れ、売り手と買い手がざわざわと会話する。魚の並べ方も、保存方法も独特だけど、それがこの市場の魅力。カオスだけど秩序がある——そんな絶妙なバランスを目の当たりにすると、思わず長居したくなるのも納得です。

旅の目的がグルメや観光スポット巡りでなくても、こういう「生活のリアル」を肌で感じる経験は、忘れられない思い出になります。イロイロを訪れたら、ぜひこの市場に立ち寄って、魚たちと人々のエネルギーに触れてみてください。

それではまた別の記事でお会いしましょう!!

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